一般的にFP(ファイナンシャルプランナー)が教える家計の話は、会計の考え方を転用したものであり、論理的で正しい方法です。
しかし、その方法がうまく機能しない家庭が多いのはなぜでしょうか?
その理由として、家計管理の場合は単なるお金の計算ではなく、「家族の心理や行動」が大きく影響するからです。
会計の原則だけでは解決できない、以下の3つの壁が存在します。
1. 家族の価値観の壁
企業の会計では、利益を最大化するという明確な目標があります。
しかし、家計には唯一の正解がありません。
それは、それぞれの家族にとって「幸せの定義」が様々で、目指すゴールが1つではないから
ある家族にとっての「幸せ」は、外食や旅行にお金を使うことかもしれませんし、別の家族にとっては、趣味や子どもの教育にお金を使うことかもしれません。
逆に、会計は利益の最大化という1つのゴールしかありません。
ですので会計の考え方に基づいた家計管理では、「無駄な支出をなくす」「節約する」ことが中心になりがちです。
しかし、価値観に合わない節約は、家族の不満やストレスにつながり、長続きしません。
「なぜ我慢しなきゃいけないの?」という感情的な反発が生まれ、ルールが破られてしまうのです。
参考→Lesson.1 家計管理ってかぞくの価値観に合った、お金のルールを決めるってこと(メルマガ会員さん限定ページ)
2. 人間の心理の壁
会計では、すべての数字が客観的なデータとして扱われます。しかし、人間は感情の生き物です。
「今月は特別に…」「せっかくだから…」といった一時的な感情や衝動で、予定外の出費をしてしまうことがあります。
また、目標達成までの道のりが長すぎると、モチベーションが維持できず、途中で挫折してしまうこともあります。
会計の考え方は、感情やモチベーションを考慮していません。
そのため、「家計簿をつけただけで満足してしまう」「計画通りにいかなくて自己嫌悪に陥る」といった心理的な壁にぶつかり、継続が難しくなってしまうのです。
3. 複雑すぎる仕組みの壁=家計簿が続かない理由
会計には、多くの勘定科目やルールが存在します。
これを家庭の家計管理にそのまま当てはめると、非常に複雑になります。
「食費」「日用品費」「交際費」といった細かい項目に分けることは、確かに正確な分析には役立ちます。
しかし、多くの人にとっては、その分類自体が負担になります。
「この出費は食費?それとも日用品?」と悩むうちに、家計簿をつけるのが面倒になり、次第に挫折してしまいます。